眠りの科学:非ベンゾジアゼピン系とベンゾジアゼピン系睡眠薬の比較

睡眠薬とは?

睡眠薬は主に「ベンゾジアゼピン系睡眠薬」と「非ベンゾジアゼピン系睡眠薬」に大別されます。これらの薬は不眠症や睡眠障害に対して処方され、寝つきが悪い、熟睡できないなどの症状を改善します。また、不安や緊張を和らげる効果もあります。また「睡眠薬」と「睡眠導入剤」の違いは作用時間の長さです。睡眠導入剤の方が短いですが、両者の間に本質的な問題はありません。

不眠症の種類

  1. 慢性不眠症(慢性不眠障害): 週に3日以上不眠と日中の不調があり、それが3カ月以上続く。
  2. 短期不眠症(短期不眠障害): 3カ月未満で症状が出る。
  3. 入眠障害: 寝つきが悪い。
  4. 中途覚醒: 眠りが浅く途中で何度も目が覚める。
  5. 早朝覚醒: 早朝に目が覚めて二度寝ができない。

不眠症の主な原因

心意的要因

  • ストレス: 仕事、家庭、健康などのストレスが不眠を引き起こすことが多い。
  • 不安や抑うつ: 心の健康状態が不安定な場合、睡眠の質に影響を与える可能性があります。

生活習慣

  • 不規則な生活リズム: 夜更かしや昼寝が多いと、体内時計が乱れる可能性があります。
  • 運動不足: 運動が不足すると、体が疲れず、眠りにつきにくくなることがあります。

医学的要因

  • 病気や薬の副作用: 一部の病気や薬は、不眠を引き起こす副作用があります。
  • ホルモンバランスの乱れ: 更年期、甲状腺の問題など、ホルモンのバランスが乱れると不眠になることがあります。

環境的要因

  • 騒音や明るさ: 環境の騒音や明るさが気になると、質の良い睡眠が取れない場合があります。
  • 寝具や寝室の環境: 寝具が合わない、または寝室の温度や湿度が適切でないと、睡眠の質が低下する可能性があります。

その他

  • 食事とアルコール: 夕食後すぐに寝る、またはアルコールを摂ると、睡眠の質が低下することがあります。

これらは一般的な不眠の原因であり、個々の状況によっては専門医の診断と治療が必要です。

ベンゾジアゼピン系睡眠薬

特徴

ベンゾジアゼピン系の睡眠薬は、即効性があり、不安や筋肉の緊張を和らげる効果もある多機能な薬です。日本では約50年前から使用されており、短時間型から長時間型までさまざまな種類があります。

メリット

1. 即効性が高い

特に「ハルシオン」や「レンドルミン」などは、飲んだ直後から効果を感じられます。

2. 用途に応じて選べる

短時間型から長時間型まで、用途に応じて最適な薬を選べます。

3. 筋肉の緊張を和らげる

筋弛緩作用があり、肩こりや身体の緊張も和らげます。

デメリット

1. 依存性と離脱症状

特に短時間型は依存しやすく、薬を減らすと不眠が強まる可能性があります。

2. 副作用のリスク

筋肉の緊張が緩むことで、ふらつきや転倒が起こりやすくなる場合があります。

3. 持ち越し効果

長時間型の場合、翌朝まで眠気が続く「持ち越し効果」が出ることがあります。

4. 耐性と依存

長期使用すると、薬に慣れて効果が弱まる可能性があります。

非ベンゾジアゼピン系睡眠薬

特徴

非ベンゾジアゼピン系の睡眠薬は、ベンゾジアゼピン系とは異なり、主に催眠と鎮静に特化しています。日本で販売されているものは「アモバン」「マイスリー」「ルネスタ」の3種類で、すべて超短時間型です。

メリット

1. 睡眠の質が向上

深い睡眠を増やす作用があり、睡眠の質が向上します。

2. 副作用が少ない

筋弛緩作用や抗不安作用が少なく、高齢者でも安心して使用できます。

3. 依存性が低い

ベンゾジアゼピン系よりも依存性が低いとされています。

デメリット

1. 効果が中等度

非常に頑固な不眠には効果が限定的です。

2. 種類と作用時間が限られている

日本で販売されているものは3種類しかなく、すべて超短時間型です。

3. 健忘のリスク

服薬後の行動が記憶から飛ぶ「健忘」という副作用が出やすいです。

4. 苦みの副作用

特に「アモバン」と「ルネスタ」には、苦みが感じられることがあります。

注意点

  • 用法・用量を守ることが重要です。
  • アルコールとの併用は避けましょう。